それはクリスマスの翌日のことでした。
朝方、まだ寝ている時間帯に相方に知り合いから電話がかかってきました。
その知り合い、Aさんとしましょう。
Aさんから意味深な内容の電話がかかってきました。
そして言いたいことだけ言ってすぐに電話は切れました。
元々トラブルメーカーなので相方は気にすることないよと言いましたがとても気になって。
酔ってんのかな?でも意味深すぎるやん?もしかしたら自殺とかするんじゃない?気になるからもう一回こっちからかけ直してみてよ、と。
かけ直してもらいましたが、Aさんは電話に出ませんでした。
そもそも相方とAさんは10年くらい前から仕事の関係で知り合い、年も近くてAさんは相方になついていました。
そしてライブなどの趣味の場でも会うようになり、わたしもそこから知り合いになり、ここ数年はライブやフェスなどで年に何回か会うような仲でした。
ということで一応、わたしも知っている、という間柄です。
不穏な電話を受けて一番に出てきたのは「あの人は一人暮らしで家にネコがいる」ということ。
もう相方もわたしもそれが気になってしまって眠れなくなりました。
ネコを飼うために少し前に引越したということもあり、相方は新しい住所も知らない。
しかも京都でもない。
相方が知っていることは仕事が遅い時にカギを渡していてネコのお世話を頼んでいるおばちゃんが近所にいる、ということだけ。
……まったくの手がかりにならん。
Aさんのお母さんには昔一度会ったことがあるけれども連絡先は知らない。
わたしは真っ先に先日Twitterで話題になった一連のツイートの事を思い出してしまって。
その時点でネコはきっと1日放置、水やごはんはまだ心配しなくていいだろう。
でもAさんに連絡が取れなかった場合、どうにかして家を突き止めてお母さんか近所のおばさんを探し出し、家に入れる手段を考えなくてはならない。
出勤する相方になんとか周りの人にも協力してもらってお母さんと連絡が取れるようにしてほしい、本人からの連絡があっても何かあればとりあえず連絡してねとお願いして。
そしてその日の午前中にお母さんと連絡が取れたらしく。
やはりお母さんのところにも連絡があり、相方の職場に相談の電話がかかってきたらしい。
そこで相方がお母さんと直接連絡を取れるようにしてAさんの今の状態などを聞いていたらお母さんのほうから「あの子、ネコ飼ってるんですけど、わたしネコ飼ったことないからどうしていいのかわからない」と言われて相方は「うちネコたくさんいるので、その子を預からせてもらっていいですか?」と伝え了承をもらいました。
お母さんにAさんの家まで行ってもらって、そこでもまあゴチャゴチャあったらしいのですがなんとか京都まで連れてきてもらい、ネコを引き取り。
ちょうどその日は相方は忘年会で早く帰ってくる予定だったのでネコを引き取って早めに帰宅しました。
キャリーがなかったらしく、洗濯ネットにダンボールで。
わたしは仕事中だったので仕事の前に用意しておいた猫トイレだけセットするようにお願いして客間に連れて行って相方に様子を見るようにお願いしました。
という、ここまでがわが家に来た経緯。
これが4日前のおはなし。
問題はここからであって。
Aさんとは連絡が取れなくて今後戻ってくるのか、それとも戻ってこないのか。
もしすぐに戻ってきたとして、ネコをすんなりと返していいものか?ということ。
実はAさん以前にイヌと暮らしていたのですが迎えて数ヶ月で、本当に自分たちの身勝手な理由で知り合いに譲った経緯があって。
その時も相方に相談というか報告があり、わたしも相方もキレていたのですが他人のことだし、譲り先もよいところみたい(SNSでたまに見かけていたAさんのお友達のところだった)だし、口出しもしませんでした。
が、それから1年経つか経たないかしてAさんは相方に「ネコを飼いたい」と言い出したらしく。
相方はスルーしていたみたいなのですが具体的に「シンガプーラが飼いたい」などと言い出したらしく。
これは本気かも、と思い丁寧に、ネコと暮らすことのウィークポイント(お金もかかるし手間もかかるという初歩的なこと)など、Aさんは遊ぶの好きだけどネコが病気になったりしたら遊びにももちろん行けないし、独り身だし他に見てもらえる人もいないし仕事も休んだりしないといけない、以前にイヌを身勝手な理由で手放したこと、命に対してどう思っているのかということを話してもらいました。
相方からわたしに連絡がきたのもあってわたしも同じように思ってる、Aさんはもうかわいいとかさみしいとかいう理由だけで動物と暮らすべきじゃないということを伝えてもらいました。
そしてその後、今年の夏にひさしぶりにAさんにわたしも会ったのですが。
向こうもわたしもお酒が入っていたこともあり、スルッとAさんが「シンガプーラってネコ知ってます?あれが欲しくて飼おうとおもってるんですよー」とその話を初めてしまって。
わたし、その時巻き舌でキレ散らかしたのです。
「どれだけ言い訳しようがお前はイヌを捨てたんじゃ!自覚ないんか!」と。
言いたいことはしっかりと言ったし、向こうもおとなしく聞いていました。
しくったな、言うんじゃなかった、みたいな顔してましたけど。
そしてその後何もなかったのでネコは諦めたのだな、と思いわたしも相方もその話を忘れていました。
そうしたら11月の初め頃、AさんがLINEで相方に「実はネコ、飼ってるんです」と。
言いにくそうに(そりゃあわたしにあれだけキレられたので言いにくいでしょう)でも誰かに聞いてほしい、みたいな感じで伝えてきたそうです。
自分はちゃんといろいろと調べて、ブリーダーのことや病院のこと、近所に自分が留守の時にお世話を頼める人がいる、など相方に言ってきたらしいです。
もう買ってしまったものはどうしようもない、というかちゃんとお世話してかわいがってねというようなことを伝えたらしく。
相方からその話を聞き、まあもうわたしたちは口を出す話ではないな、と思いました。
相方には少しだけ、写真が送られてきて明日避妊手術なんです、みたいな連絡があったみたいです。
が、普通なら知らない人でもネコを飼っていると聞けば写真も見せてもらったりするわたしですがAさんからのLINEは見ませんでしたし、わたしがもう関わりたくないというのも相方もわかっていました。
そして2週間後のこの展開、今ナウです。
上記のような内容から、いつ生まれなのか、名前が何なのか、何もわからず仮名を「ぐりこ」と名付けました。
でもきっと避妊手術の時期からいって生後7〜8ヶ月くらいなのかなあ、という感じです。
ということでわが家で暮らすよりもっといいおうちがあるとも思うしシンガプーラならほしいわ、という人もいそうですんなり里親も探せそうですがAさんと連絡が取れないため譲渡はできない、わたしたちは身内の了承を得て預かっているだけ、という状態です。
そして本当にAさんが帰ってきた時、この子と暮らしたいと言った時、すんなりと返していいのか?ということ。
関わらないと思っていたけれども関わってしまった、今回の件も大切な存在、ネコが家で待ってると思えば回避できたこと、責任ある人なら絶対(以下自粛)。
でも、Aさんもそれなりにかわいがってたでしょうし、めちゃくちゃかわいがっていたかもしれない。
それを取り上げる権利はわたしたちには、ない。
でもAさんの責任感よ、シンガプーラの行く末よ、という考えの堂々巡りを脳内でずっとしてます。
相方は初めから激怒り、こうなると思ってた、返す必要ないしアイツは動物と暮らすことは無理だ、と。
でもわたしたちが何を言ってもAさんのネコなのです、シンガプーラはAさんの「所有物」なのです。
Aさんが返せと言えば返さなければならないのです。
でも相方がお怒りなのもわかるし、全ては書けないのですがちょいちょい悪い何かしら、お母さんや周りから聞く話、におってくるのです。
そんなくだらんことで、とか自分が一番かわいいの?とかじゃあネコはなんだったの?という罵声がいろんなところから聞こえてきそうなお話で。
わたしも相方も、返したところでまた同じことをしでかすだろう、という意見の合意。
それを未然に防ぎたい、ぐりこには普通の生活をしてほしい、危険な目に遭わさないでほしい、ただそれだけ。
が、それもこれもAさんとは連絡が取れないので真実がわからない、どうしようもありません。
そして調べたら20万くらいするんじゃない?シンガプーラ。
高いネコなのでわたしたちが返さない、みたいに思われても困る。
という状態なのです、借りぐらしのぐりこちゃん。
Aさんと連絡がついたら、できれば手放してもらう、もう今後一切動物を買わない、飼わないという約束をしてもらう方向で話は進めたいなあと思っていますが本当にどうにもこうにもわかりません。
なのでぬるっと、おたぬよりも面倒な感じなんだなあという認識で見守っていただければと思っています。
ぐりこ(仮名)はしあわせになるでー!ということだけ信じて。
たべられちゃうけいじょしです、とうぶんのあいだよろしくです!(ぐりこ)